前回からの続きです。
実際に起こった浮気調査の「完全成功報酬制」よるトラブル事例をご紹介いたします。

ケース1:「成功」の定義

ある依頼者が「完全成功報酬制」で探偵に依頼し、調査が終了したとのことで、報告を受けに探偵社を訪れました。
しかし、調査報告書には異性と食事をしているところや、腕を組んで歩いているところの写真と経過写真のみが貼り付けられており、とても浮気の証拠といえるものではなかったのです。

探偵の担当者は、「二人で密会していたので成功」として高額な成功報酬を請求してきたそうです。
もちろん、二人で食事やデートに行くのは浮気をしている可能性がありますし、少なくとも親密な仲であることは明白です。

しかし、依頼者が欲しいのは「決定的な浮気の証拠」ではないでしょうか?
その後の慰謝料請求や離婚協議を有利にすすめ、万が一、裁判になった場合に相手方に壊滅的な打撃を与える最終兵器が必要なんですよね。
だからこそ、高い費用を支払う覚悟で探偵に依頼したわけですから、その依頼者も当然に「決定的な浮気の証拠」が取れると確信していたはずです。

また別のケースでは、浮気の証拠が取れていないにもかかわらず、「浮気をしていなかったので成功です。」と耳を疑うようなことを言われ、高額な報酬を請求された事例もあります。

ここでのポイントは「成功」の定義を契約書に明記していないということです。

できるだけ具体的に「成功」の条件を決めておかないと、こういったトラブルになります。
例えば、「対象者と相手がラブホテルまたは愛人宅に出入りするところを写真もしくは動画で撮影する。」や「愛人宅の場合は、滞在時間が〇時間以上」などです。

何をもって「成功」とするかは、依頼者・探偵社の双方で共通の認識が必要ですし、必ず契約書に明記しておかなければなりません。

ケース2:経費+成功報酬

成功報酬制の料金体系の中には調査に伴う経費のみ実費で請求し、浮気の証拠が取れた場合に成功報酬を請求するものもあります。
経費の中には、車両費や機材費、GPSレンタル料、燃料費や調査員一人当たりの人件費まで含まれる場合もあるようです。
調査員一人当たりの調査料金は格安に設定されているのですが、そこだけをホームページ等で大々的に宣伝し、その他の経費に利益を乗せているようなケースも見られます。

さらには、成功報酬制であるために、実際いつ調査に出ているのか全く分からず、担当者に確認しても「成功報酬制なので詳細はお伝えできません。」との回答。
1カ月も2カ月も、どんどん経費だけが膨らんでいき、いつまでたっても証拠が取れず、最終的にこちらから調査打ち切りの連絡を入れると、「一方的な契約の解除なので、違約金を請求します。」と言われる始末。

結局、何らの証拠も取れず、高額な経費と違約金が請求されたということです。

このようなケースの場合、実際にはほとんど調査に出ておらず、調査力の低さが露呈することを恐れ、その隠れミノとして「完全成功報酬制」を採用しています。

「完全成功報酬制」は裏を返せば、調査に出ていなくても依頼者にはわからないし、仮に失敗してもリスクがないということです。
そしてダラダラと調査を長引かせることで、いとも簡単に利益を得られる手法とも言えます。

対策としては、契約の段階で明確な調査期間あるいは契約期間を定めることです。
その期間内に浮気の証拠を掴めなければ、調査失敗ということで、契約終了となるようにしておきましょう。

ケース3:調査内容に対しての成功報酬の額

前の記事でもお伝えしましたように、「完全成功報酬制」で契約する場合、個々の探偵社・興信所によって様々な条件が定められているはずです。
そのほとんどが、相当高い確率で浮気をしていることが大前提になっております。
ということは、短期間で浮気の証拠を掴める可能性が非常に高くなりますので、調査報告書の内容も一見すると味気なく感じられるかもしれません。

ただ、それが本当に「決定的な浮気の証拠」、例えばラブホテルの出入りや愛人宅での宿泊・愛人との不倫旅行等(不十分な場合もありますが)であれば、まだ納得しやすいと思います。
しかし、愛人宅への出入りが撮影できたとしても、お昼の時間帯で滞在時間が1時間ないし2時間程度ならどうでしょうか。

・・・これって微妙ですよね?

まず、滞在時間が短すぎますし、時間帯が日中ですから「お昼をごちそうになっただけだ」とか「仕事の打ち合わせをしていた」であるとか、状況にもよりますが、何とでも言い訳ができてしまいます。

それでも、この場合はケース1と同じで、よほど具体的に成功の条件を契約書で定めていない限り、上記のような場合でも「成功」とされかねません。(むしろ強引に「成功」に持っていく場合が多いと思います。)
もっと言うと、証拠としては薄いものだったとしても「調査初日でしたが、成功しましたので調査終了です。」と言われ、〇十万、〇百万という成功報酬を請求されます。

実働は1日しか調査していないんですよ?
しかも、愛人宅の滞在時間が短いので比較的短時間で調査が終わっているはずです。
それでも、契約は契約ですので、高額な成功報酬を支払わなければならないのです。

各探偵社・興信所が「完全成功報酬制」で契約するほどの条件が整っているのであれば、時間制での契約の方が探偵に支払う費用も安くなる場合がほとんどだということを知っておきましょう。

ケース4:複数の浮気相手がいた場合

ある方が「完全成功報酬制」で奥さんの浮気調査を某探偵会社に依頼をしました。
その成功報酬は、なんと・・・300万円(税別)です!

その方も、経済的に余裕があるということもあったかもしれませんが、奥さんの浮気を確信していたわけではなかったとのこと。
「何も浮気の証拠が出て来なければ0円だし、仮に浮気していたのなら慰謝料も請求できるし、それで差し引いてマイナスがなければ、まぁいいか。」ぐらいに考えていたそうです。
つまり、慰謝料は二の次で真実を知りたかっただけなんです。

実際、探偵会社の方からも「万が一、浮気の証拠が取れれば、提携している弁護士と協力してお客様にマイナスが出ないようにいたします。」と言われていたそうで、その言葉を信じ、成功報酬300万円の契約をしました。
ちなみにですが、その時の契約書には成功の条件として「妻の不貞行為立証」と記載されていました。

調査開始から数週間がたったある日、探偵会社の担当者から連絡が来ました。
「対象者は、当初確認していた浮気相手とは別の男性とも接触しています。この男性も調査いたしますか?」
ショックと怒りを隠せない依頼者は、即答でその別の男性の調査を依頼したそうです。
すると、探偵会社の担当者から「では、これは別件になりますのでこちらも成功報酬300万円(税別w)です。」との返事が。

これには、さすがに依頼者も難色を示しました。

依頼者「・・・また別途で300万円ですか?同じ案件という扱いにはならないんですか?」
探偵「いやいや、これは別件ですよ。でも慰謝料取れますから。大丈夫です。」
依頼者「ん~・・・高いですね。何とかなりませんか?」
探偵「わかりました。では、〇〇さんなので特別に200万円(もちろん税別w)でやりましょう。」
依頼者「え?100万も下げてくれるんですか?・・・じゃあ・・・それでお願いします。」

上記のような会話だけで、別件と言っておきながらも新たな契約書も交わさず、しかも謎の100万円大幅減額です。笑

このような流れで調査は続行し、結局その依頼者の男性は、成功報酬と経費等あわせて600万円弱の料金を支払うことになりました。

契約書の成功の条件が「妻の不貞行為立証」ですので、確かに奥さんの浮気は立証できますが、肝心の浮気相手の男性2名の名前や住所、勤務先等は不明のままです。
そこを調べるには、別途の料金がかかります。
しかし、現状のままでは慰謝料も請求しようがないですよね。だって相手方の住所がわからないのですから。。。

余談ですが、不貞行為に対する慰謝料の相場(裁判に至った場合)は、もちろんケースによって異なりますが、おおむね100万円~150万円程度で考えておきましょう。
慰謝料で300万円も取れるケースは正直稀です。600万円なんてもってのほかです。(もちろん取れる可能性がゼロということではないのですが・・・。)
よくこの探偵会社の担当者は、誤解されるような発言をしたなと思います。

いかがでしたでしょうか?
長々と熱く語ってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
みなさんも「完全成功報酬制」の被害者にならないように、上記のような事例を知っておくと防ぐことができると思います。

あと、さらに付け加えるとするなら、「完全成功報酬制」はもちろん「時間制」の場合でも、必ず1社で決めてしまわないことです。
見積もりを出してもらったら、それを持ってもう1社ぐらいは相談に行ってみましょう。
できれば、重要事項説明書ももらってきてください。
重要事項説明書は法律で交付しなければならないことになっていますし、契約締結前の交付書面ですから持って帰っても全く問題ありません。
もし、探偵業者が重要事項説明書を持ち帰ることに難色を示したなら、そういうところは初めからやめておいたほうが賢明ですw

「探偵に見積もり依頼をしたんだけど、この金額ってどうなの?」とか
「完全成功報酬で契約してしまったけど、大丈夫かな」とか

その他、探偵に関することでお困りのことがあれば、是非ご一報ください。
必ずお役に立てると思います。

 

ではまた。