身近に探偵の知り合いがいるという方は、どれくらいおられるのでしょうか?

おそらくそんなにいないと思います。
探偵の職業に対する一般的なイメージは、テレビドラマやミステリー小説で出てくるようなものが多く、本物のプロの探偵がどのようにして調査業務を遂行しているかはご存じない方もおおいのではないでしょうか?

今日は、探偵の代名詞ともいえる「尾行調査」について書いてみたいと思います。

「尾行調査」と言えば、我々の業界でも最も依頼率が高い「浮気調査」「不倫調査」と切っても切れない基本スキルです。
特にこの泉州地域においては、車での尾行、いわゆる「車両尾行」が主になってきます。
以前にもブログで書きましたが、大阪市内などの都心部では交通機関などが多いため、徒歩による尾行が中心となり、田舎などの比較的人口も少ない地域ではこの「車両尾行」が中心となります。

さて、この「車両尾行」ですが、徒歩尾行の場合と比べて難易度はかなり高いです。
なぜなら、あやしまれる危険性と見失う危険性が常についてまわります。

例えば、片道一車線の道路で尾行中に、対象者(ターゲット)の車と探偵の車の間に、まったく関係のない一般車両が入ったとしましょう。
普段、道路を車で走行していれば、店舗の駐車場等から出てきた車に車間を割って入られるなんて日常茶飯事ですよね。
そして信号のある交差点で、対象者の車は黄信号で通過し、一般車両は赤信号で停車した場合、探偵の車両も停車するしかないのです。
片道一車線ですので、前の車両を追い抜くこともできず、対象者の車と大きく距離をあけられてしまいます。

今度は、逆に車間を詰めて割り込みができない状態で尾行したとしましょう。
この場合は、みなさんも容易に想像できるかと思いますが、あやしまれるリスクが一気に上がります。
同じ車がずっと真後ろをついてくるのですから、対象者はルームミラーやサイドミラーで確認しているでしょうし、追われる理由があるのならピンとくる人もいるでしょう。

では、どうすれば良いのか?

これはもうケースバイケースとしか言いようがないです。
あえて一般車両を間に挟むときもあれば、対象者の車の真後ろにつくこともあります。
できるかぎり対象者に意識されないよう、近づいたり離れたりを対象者の行動や場所、または交通量や時間帯、道路の状況によって繰り返しているのです。

瞬時の判断の連続で尾行を継続しているのですが、そこは我々も人間ですので、先を読むにも限界があります。
一般車両を間に挟むときも、その一般車両の運転手がおじいちゃんおばあちゃんならもう最悪です。
また道路工事や踏切等、どうにもできないことがいくらでも想定できます。

ですので、運の要素もありますが、成功率を上げるためには、やはりある程度のことはやっていかないといけません。
ときには信号無視もやむなしの状況もありますし、強引に割って入ったり、急な車線変更や旋回などもします。
ただし、事故を起こしてしまえばその日の調査は絶望的になりますので、それだけは絶対に避けなければなりません。

つまり、「車両尾行」には図太さと度胸とドライブテクニック(と少しの運w)が必要なのです。

が、しかしです。
そればかりでは、いつかはバレます。
もちろん対象者の警戒レベルにも寄りますが、長時間の尾行となると調査バレする可能性がどうしても高くなります。

そこで「引き際」というのも、肝心になってくるのです。

もちろん尾行を完遂できれば一番良いのですが、無理をしたために調査続行不能となり、結果依頼者様にご迷惑をかけることになります。
さらには、調査バレという最悪の事態にもなりかねません。

だからこそ「引き際」を知らなければならないのです。

この「引き際」は場数を踏んでいかないと中々習得できないと思います。
駆け出しの探偵さんなんかだと、とにかく対象者を見失わないように必死で尾行するあまり、対象者の警戒レベルに気づかないことがよくあるのです。
必死で尾行するというのは非常に良いことなんですが、そこにテクニックが伴わないと取り返しがつかないことになるのです。

一旦引いて、尾行を中断したとしても、今はみなさんご存知のGPSというものがありますので、現在地を検知して再度尾行を開始することも可能です。
ただ、このGPSも電波状況により検知が遅れたり、精度が悪かったりしますので、あまりGPSに依存するのも良くありません。
GPSはあくまで車両の位置を示すものなので、コインパーキングや大型ショッピングモールの駐車場などに停められてしまえば、肝心の対象者がどこに行ったか分からず、戻ってくるまで待ち続けなければならないのです。
ですので、尾行の基本はやはり目視で追跡するに越したことはありません。

このように「車両尾行」には常にリスクがついてまわりますが、我々探偵は技術と経験(と少しの運ww)で業務を完遂しています。

では、また次回に。